焼きたてのパンに囲まれて、かわいいコック服のような制服を着て、気楽に仕事が出来る。
パン屋のバイトにはそんなイメージがあるかもしれません。
特にヴィドフランスはパンの販売だけでなく、カフェも併設されているお店です。
外目からはおしゃれで楽な仕事に見えるヴィドフランスでのバイトですが、実際の仕事はどのようなものなのでしょうか。
ヴィドフランスで接客・販売担当として1年ほどバイトをした筆者が、その仕事の全貌をお伝えします。
なんでこのバイトを始めようと思ったのですか?
筆者がヴィドフランスでバイトをしようと思った理由は3つあります。
- パンが好きだから
- パン屋でバイトをするとパンが貰えると訊いたから
- 商品がパンしかないので、仕事が少なくて楽だと思ったから
単純な理由ばかりですが、3つ目の、仕事が少なくて楽そうというのはかなり大きかったです。
他のバイトだと、例えばコンビニのバイトだと、単純にレジ打ちだけでなく品出しやゴミ出し、郵便物の受付や商品の検品、深夜であれば清掃など、様々なジャンルの仕事をやらなければなりません。
それがパン屋なら、商品はパンしかないので、覚える仕事が少なく済みそうだと思ったのです。
本当にそうだったのでしょうか。
次の項から詳しく見ていきましょう。
仕事内容は?
ヴィドフランスの仕事は、大きく3つに分かれます。
- 接客・販売
- パン製造
- サンドウィッチ製造
筆者は1つ目の、接客・販売のスタッフとして働いていました。
なのでここでは、接客・販売の仕事内容について説明していきます。
接客・販売の仕事内容
- レジ打ち
- 品出し、売り場づくり
- カフェカウンター
- 清掃、その他雑用
レジ打ち
基本業務ですが、パンの金額をレジに打ち込んで、袋詰めをする作業です。
この仕事で大変なことは1つしかありません。
パンの名前を覚えられない。
最初の内はパンの名前が全然覚えられず、お客さまを待たせたり、最終手段としてお客さまに訊いたりしていました。
慣れるまではレジ打ちが一番緊張する仕事でした。
また、慣れてきたとしても、たまにパンの種類を間違えて会計の値段が変わってしまい、クレームが入ることもありました。
バーコードを読み取るだけでいいコンビニのバイトとは、ここが大きく異なります。
しかし、逆に言えば、パンの名前を一度覚えてしまえば、レジ打ちの仕事は一気に楽になります。
品出し、売り場づくり
前述のレジ打ちと、この売り場づくりが、ヴィドフランスのバイトの二大業務です。
勤務時間の半分以上は、品出しと売り場づくりをしていました。
具体的にどんな仕事をするかというと、
- 焼き上がったパンを棚に並べる
- パンをきれいに並べなおす
- 新商品の値札や紹介文を書く
このような仕事をしていました。
①焼き上がったパンを棚に並べる
厨房から焼き上がったパンを、売り場の棚に並べる作業です。
この時に、「〇〇パン焼きたてです!」!というように声を出して宣伝するのも、大事な仕事です。
焼きたてのパンは売り場の真ん中など目立つところに置いて、「焼きたて」と書かれたプレートを値札の前に置きます。
焼きたてというだけで手に取ってくれるお客さまがいるので、こうした声出しやプレートの設置はとても大切です。
②パンをきれいに並べなおす
売り場に出すときにはきれいに並んでいたパンも、お客さまがとっていくうちに崩れてしまいます。
そのため、売り場のパンの状態にはいつも目を光らせておいて、レジ打ちの隙を見てパンを並べなおす作業に入ります。
筆者の働いていた店舗は、売り場の一部が外からも見えるようにガラス張りになっていたので、その部分は特に、
いつもたくさんのパンがきれいに並んで見えるように
心がけていました。
パンはたくさんあった方がお客さまの反応がいいので、
売れ行きがよく少なくなってしまったパンは売り場の端に置いたり、
少なくなってしまった種類のパンを集めて1つのトレイにのせたりして、
一見すると売り場にはたくさんのパンがあるように見えるよう工夫しました。
③新商品の値札や紹介文を書く
新商品には目立つように値札の色を工夫したり、紹介文を書いたりします。
また、新商品が出るときには、そのパンに含まれている食材を正確に把握しておくことが必要です。
お客さまの中にはアレルギーなどで口にできない食材がある場合があり、新商品にそういった食材が使用されていないかどうか訊かれることがあります。
その時に正確に答えられるように、新商品が出るときは必ず成分表を確認していました。
カフェカウンター
ヴィドフランスにはパンを買って、そのまま店内のカフェスペースで食べられるシステムになっています。
レジ打ちの時に持ち帰りか店内で召し上がりかを訊くのですが、
- 持ち帰り→袋詰め
- 店内→パンをお皿に盛る、飲み物を勧める
店内で召し上がる時には必ず飲み物のご案内もします。
飲み物の注文がコーヒーなどすぐに出せるものであれば、会計の合間に自分で用意してパンと一緒にお渡しします。
準備の必要なドリンクであれば、他のバイトの人に頼んでやってもらいます。
時間がかかる料理などの場合は番号札をお渡しして、あとで席まで持っていきます。
混んでいる時に注意しなければならないのは、「席を確保してからパンを買う」ように呼びかけることです。
後で書きますが、パンやドリンクを買ってしまってから、カフェスペースで席を探そうとすると、席が全て埋まってしまっている場合があるのです。
そうした事態を防ぐために、どんなに忙しくても、席の確保を先にするように声掛けすることは、重要です。
清掃、その他雑用
お客さんが少ないときには、店内や厨房の掃除を任されることがありました。
小学校などによく置いてある大きいモップで、床を拭き掃除します。
また、レジ打ちや品出しの隙を見て、使用済みトレイのクリーニングをするのも、大事な仕事です。
お客さんが多いときはこの作業が後回しになってしまうのですが、タイミングが悪いと、お客さんの第二波が来た時に使えるトレイが無い、という状況が起こってしまいます。
トングとトレイは隙を見てこまめにクリーニング作業をする必要があります。
ヴィドフランスのバイトのきついところ、楽なところ
ヴィドフランスのバイトのきついところは、
- パンの名前を覚えるまでがきつい
- 細かいクレームが多い
の2点です。
逆にヴィドフランスのバイトの楽なところは、
- 仕事の種類が少ない
- パンやドリンクが安く買える
- 暇な時間帯が多い
の3点が挙げられます。
1. きついところ:パンの名前を覚えるまでがきつい
前述した通り、ヴィドフランスではバーコードを読み取るのではなく、パンの種類を覚えて、その値段をレジに打ち込むというやり方をします。
そのため、パンの名前と値段を覚えられない内は、かなり辛い思いをしなければなりません。
筆者はパンの名前と値段を覚えるまで、2週間かかりました。
しかしこれを乗り越えればレジ打ちはかなり楽なものになるので、最初だけだと思って頑張って耐えましょう。
2. きついところ:細かいクレームが多い
パン屋というとクレームが少ないイメージがあるかもしれませんが、実際細かなクレームは多いです。
例えば、
- 店頭にあるパンの種類が少ない
- お目当てのパンが品切れ
- 気に入っていたパンが製造中止
- カフェスペースに利用できる席が無い
などの時に、クレームが入ることが多いです。
どれも店員側の過失ではないことが多いので、うまく受け流すスキルが必要になります。
3. 楽なところ:仕事の種類が少ない
やはりコンビニなどに比べて、覚える仕事の種類が少ないことは、かなり楽なポイントです。
1~2週間経てば、大体の仕事は1人でできるようになります。
4. 楽なところ:パンやドリンクが安く買える
店員割があるので、パンやドリンクなどを20パーセントオフで買うことができました。
休憩時間や帰り際に買っていく人が多かったです。
パン好きの筆者にはたまらない特典でした。
5. 楽なところ:暇な時間帯が多い
他の飲食店バイトと違い、極端に混み合う、ということはありませんでした。
休日の15時~17時は必ずと言っていいほど忙しくなりますが、平日の昼間や夜は特に暇な時が多かったです。
スーパーと違い、売っている商品もパンのみなので、袋詰めが追い付かないほど大量に商品を買う人も少なく、スピード勝負の仕事ではないと言えます。
そういう意味では、のんびり仕事をしたい人や、どうしても作業に時間がかかってしまう人にはお薦めの仕事です。
職場の雰囲気
販売・接客のバイトは、若い女性が多いです。
筆者の働いていた店舗では、店長とベテランの店員の男性以外、全員20代の女性でした。
製造の方になると、年齢層が高くなり、男性の割合も高くなります。
ですが全体的には女性が多いので、女性であれば職場に馴染みやすいでしょう。
面接の様子(服装・質問など)
服装は普段着でオッケーです。
制服などは全て支給されるので、バイトのために新しく服を用意する必要はありません。
他のパン屋でバイト経験があると採用される確率が高くなります。
実際、採用を見送った人のほとんどは、パン屋バイトの経験のない人でした。
たまにパン屋バイトが初めてだという人が入ってくることもありますが、何人か候補がいる時には、パン屋バイトの経験がある人が最優先されます。
これからヴィドフランスのバイトを受けようと思っている人は、この点に注意する必要があります。
採用された志望動機
前述の通り、ヴィドフランスで採用される確率が一番高いのは、パン屋バイトの経験があるかどうかです。
筆者はヴィドフランスで働く前に、個人経営のパン屋でバイト経験があったので、面接ではそこを積極的にアピールしていきました。
パン屋でバイトのある人は、ぜひそのことをアピールしてみてください。
髪色・髪型・ピアスは?
髪は極端に明るい色でなければ、染めていても問題ありませんでした。
髪が長い場合はヘアゴムで結んだり、ピンで止める必要があります。
ピアスを付けている人はいませんでした。
ピアスを開けている人でも、仕事中は透明ピアスに付け替えている人がほとんどでした。
掛け持ちはできるのか?
掛け持ちはオッケーです。
固定シフト制なので、シフトの入っていない日に別のバイトを入れることができます。
周りはどんな人が働いていた?
学生が多かったです。
大学生や、専門学生が多く働いていました。
中には、ヴィドフランスのバイトをしつつ、イラストレーターの道を目指している人もいて、そういう人と休憩時間に話すことはいい経験になりました。
シフトはどんな感じ?
筆者の働いていた店舗ではシフトは完全に固定シフト制でした。
時間帯は、
- 9:00~14:00
- 14:00~17:00
- 17:00~22:00
の中から選べて、2つの時間帯を組み合わせることも可能です。
筆者は平日は17:00からの時間帯に入って、休日は9:00からがっつり17:00まで入っていました。
ブラックな点はある?
筆者が働いていた限りでは、ブラックさを感じることはあまりありませんでした。
強いて挙げるならば、
- パンの売れ残りが多いと店長に嫌味を言われる
- 作業が終わらない時には15分程度のサービス残業をさせられる
- 人がいない時には、1人で店を任される
くらいです。
2つ目と3つ目に関しては、これが毎回のことであればブラックなバイトと言えるでしょうが、1年間働いてこのようなことは1度しかありませんでした。
パンの売れ残りが多いと嫌味を言われるのはしょっちゅうでした。
夏場は特にパンの売り上げが落ちる季節なので、かなり意識して声掛けなどしないと、売れ残りは多くなります。
時給は?交通費は全額支給される?
時給は最低賃金(当時850円)でした。
交通費は原則全額支給ですが、学生の場合は定期券内は支給されません。
ただ、長期休み中など、定期が切れる時期は申請すればちゃんと支給されるので、ご安心ください。
店長はやさしい?怖い?
店長は基本的にはやさしくて、失敗しても怒らずフォローしてくれました。
ただし前述のとおり、筆者の働いていた店舗の店長は、パンの売れ残りが多かったり、売り上げが悪い時には嫌味を言う人でした。
そういう嫌味は聞き流せるスキルがあると、楽になります。
どんなスキルを学べる?就活に活かせること
ヴィドフランスのバイトをして得たスキルとしては、
- お客さんを意識した陳列ができるようになる
- 忙しくても周りに目がいくようになる
の2点が大きいです。
自分とは違う立場(つまりお客さん側)に立ってものを考えられるようになることは、あらゆる仕事に応用できるスキルです。
また、忙しい時ほど自分のことだけでなく周りに目を向けることは、どの仕事にも共通して大切なことだと言えるでしょう。
たかがパン屋のバイトですが、学べることはたくさんあります。
最後にこれからバイトをする人へ
ヴィドフランスのバイトは、学べることの多い仕事です。
最初の内は辛いことも多いですが、遅くとも1か月以内には慣れてしまう人がほとんどですので、最初だけ我慢すれば後が楽です。
店舗によっては初心者のバイトを募集しているところもあるので、いくつかの店舗を比較してみるといいでしょう。
がつがつし過ぎずに、ゆとりを持ってできるバイトなので、学業に集中したい学生などには特におすすめです。